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新校舎の、化学物質臭漂う 真新しい視聴覚室。 去年の世界史のS先生が教壇に立って、普段通りの授業をしていた。
ここはイスラム圏の国だった。 私の前の列には 同い年か少し下くらいの男の子と女の子が、 授業中なのに なぜか こちら側を向いて座っている。 私は隣のクラスメイト Tと一緒に 彼らとコミュニケーションをとろうとしていた。
そういえば窓から岩のドームが見えたが、 女の子が全身隠さずにいるくらいだから戒律の緩い国だったのだろう。
それはともかく、彼らはおそらくアラビア語で話しかけてきていたので、 言いたいことがまったく分からなかった。 こちらが困っていると男の子が口の前で×印を作った。 「ダメか?」 そう訊かれていると感じたので頷きながら同じ動作をしてみると、 通じたらしく、話しかけるのをやめてくれた。
脈絡なく、 「英語は分かる?」 という英語が私の口を突いて出た。 その瞬間から、私たち四人は英語でしゃべりあった。 周りに人はいたようだったし、いないようでもあった。
ほどなく終業のチャイムが鳴った。 日本語で授業をしていたS先生が教室を出て行くと、私たちも廊下を歩き出した。 隣を歩く「クラスメイト」は常にTというわけではなく、 歩いているうちに女にもなったし中学の同級生の顔になっていることもあった。
気がつくと、私は階段の前で一人だった。
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